麺づくりへのこだわり persistence

全粒粉麺− 栄養たっぷりの全粒粉麺 −

当社では“昭和うどん”を始め、“全粒粉冷し中華”、“つけ麺”など全粒粉を使った商品を数々製造しております。それでは全粒粉とは何でしょうか?簡単にいうと小麦の粒の全て(表皮、胚芽、胚乳)を使った粉のことなのです。この全粒粉には栄養補助食品である、たんぱく質、ビタミンB1、B2、ビタミンEが多く、そして食物繊維や鉄分等も豊富に含まれています。また若返りビタミン、抗酸化作用、低インシュリンの効果も期待されます。

粒の全てを使うので小麦の香りは多く感じられますが反面、表皮や胚芽が入るため必然的にグルテンの数値は低くなります。つまり粘り成分の割合が低くなるから全粒粉だけを用いるのでは麺帯にすらならないのです。

当社は国内産小麦粉に独自の割合で国内産全粒粉をブレンドし、練り方、時間、質の良い水、塩分、麺帯熟成にこだわり、それぞれの全粒粉麺を製造しております。手間暇がかかるため価格は少々お高めになってしまいますが、一度召し上がれば、食べごごち、かみごごち等の特長を御理解いただけるのではないかと信じ、得意とするべく全粒粉麺を日々研究しております。

多加水麺考察− 小麦粉と水の黄金比 −

麺を作る際、小麦粉に水を加えます。当たり前のことですが麺作りでは、その量がとても大切となってきます。たくさんの水を加えることによって小麦粉に含まれるグルテン(小麦粉の粘りとなる部分)の特徴がより大きく引き出されます。それが一般的に言われる「麺のコシ」なのです。
ほとんどの人がコシの強い、弾力性がある麺を好むので我々麺職人は出来る限り多くの水を加えて練るわけです。しかし反面、多くの水が入ると麺帯は延びやすく、麺帯や麺線が互いにくっつきやすくなります。したがって製造作業が厄介となってくるので、そのために打ち粉(でんぷん系のサラっとした粉)を打ちながらの作業が避けられないのです。
適度な加水で練れば作業も簡単なのですが、とうぜん麺の味や食感は落ちてしまいます。うどん屋さんの手打ちうどんが美味しいとされるのは50%近い水を加えて丁寧に練り上げられてるからなのです。その味を製麺業でも出したいと思い、弊社も手間暇を惜しまず多加水の生地に拘っております。

【ミニ知識:多加水麺】
麺をつくる際に小麦粉100に対する水の比率を加水率といい、加水率30~35%が一般的で、これを越える麺を多加水麺と呼んでいます。加水率が高いほど柔らかく多量の水分を含んでいる事で茹で延びしにくいと言われています。麺の太さや形状にもよりますが、食感はプルプルした中にモチモチ感があることが特徴です。そして食べやすく消化がいいとも言われています。いい事の多い多加水麺ですが、季節や天候による材料の調合に微妙な調整が必要とされ、錬りや熟成の過程で経験と勘による見極めが必要となります。

麺づくりの発見− 「独自の練り」と「熟成」 −

弊社は昭和元年創業以来、麺一筋に日々技を磨いてまいりました。
私三代目も、この仕事に携わって早いもので30年余りになります。
今まで麺をこしらえてきた上で、いくつかの発見がありました。

はじめに、麺の旨さを決定づけるのは「練り」にあるということです。
もちろん原材料の品質や使う水の性質など、こだわる点も多いのですが、一番に「練り」が麺造りにおいて重要な要素だと考えております。

その次に「生地の寝かせ」、つまり「熟成」です。
丁寧に練った生地を麺帯に伸ばし、それをビニールのカバーで包んで数時間から半日置きます。この「熟成」が粉と水の練り合わせたものにより一層の馴染みを与え、麺のコシを強くし、表面の舌触りを滑らかにいたすということです。

この二つの工程は製麺業界の製造方法としては一般的になっておりますが、時間がかかる上に生産量が限られてしまう為、昨今の製造現場ではとかく省きがちになってしまうものです。味が落ちるという犠牲を払って、短時間で大量に生産する効率優先の現場においては、それが求める結果なのかもしれません。しかし、弊社においては、より良い製品のために「独自の練り」と「熟成」にこだわり充分に時間をかけ、丁寧に麺をこしらえており、日々新たに研鑽を積んでいるところです。

麺とともに歩む− みうらや製麺の歴史 −

田原市福江町(旧渥美町福江)に昭和元年に初代が創業して以来、地元の方に愛され育てられて三代、そして四代へと麺づくりを継承いたしております。

昭和44年、二代目が現在地である田原市保美町(旧渥美町保美)へ会社を移転、製麺業と麺類を柱とした食堂の経営も始めました。時代は高度成長期、それはそれは大変忙しい毎日で、お客様の注文を頂いてから自家製うどんを茹で始め、てんぷらも揚げたてを提供する、“茹でたて、揚げたて”をお出ししておりました。

しかしながら平成6年、25年間続けた食堂を閉め、本業である製麺業に専念をいたすこととしました。それは食堂が暇になったのではなく、反対に忙し過ぎたのです。これでは家族や従業員の方の健康に支障をきたすうえ、本業である製麺も疎かになってしまうと判断いたしたわけです。

その頃より世の中はバブル崩壊の真っ只中、スーパーや個人商店も安売り合戦が繰り返されておりました。しかし弊社は、弊社を取り巻く立地条件や生産能力、生産量を鑑み、あえて安売り商戦には参加しない方針を立てて、我慢を貫いて付加価値の高い、魅力ある商品作りに専念いたしました。真剣に良い商品、食べて良かったと思われる麺を作り続けていれば、世の中には必ず認めてくれるお客様がいると信じ「独自の練り」「こだわりの麺帯熟成」を麺作りの主軸として今日もなお研鑽いたしております。

Go To Top